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拝啓 森の花畑の守人様
6月15日 久しぶりの静かな朝です。 3年前いただいたベルガモットは見事に向こうの谷の庭や畑に定着し、今年も大きな蕾をつけました。開くのは6月の終わり頃でしょうか。他の植物と混じり合いながら、少しずつ群落が広がっています。 玄関脇のトレリスに、昨年、植えた半鐘蔓が伸びてきて、小さな葉をからみつかせています。人のつくった規則的な格子と一つも同じもののない蔓。自然のものの形は、じいっと見入ってしまいます。 かみさんと末っ子娘が、今年もモリアオガエルが南の庭の池の上に枝を伸ばす紅葉の葉に卵を産んでくれれたと教えてくれました。指さす方向をみると、枝の上でモリアオガエルのオスがじっとしています。カエルスキのかみさんによれば、この短い産卵期だけ山から降りてくるメスを待っているのだそうです。 今年のニュージーランド箱での堆厩肥の仕込みが始まりました。まずは向こう側のマスの向かって左側に入っていた昨年の晩夏に仕込んだ刈草と牛糞の混合物を、向こう側のマスの右側に切り返しながら移しました。次いで手前のマスに入っていた、今年の早春3月後半に集めて仕込んだ落ち葉を向こう側の向かって左のマスに移しました。これで、今年の夏仕込む分のスペースができます。 先に仕込んだ刈草と牛糞の混合物はあと2~3ヶ月で使えそうです。落ち葉は、虫やミミズやカビ等の菌がせっせと働いているようで、一部ボロボロになりはじめています。落ち葉はこれまで畝間の抑草マルチに使っており、落ち葉堆肥づくりは今回が初挑戦です。落ち葉の腐葉土の土壌改良効果は、これまでも側溝などで自然に腐葉土化したものを使って確認済みですので、仕込んでどの位の期間で使えるようになるのかとても楽しみです。去年、ほとんど腐植層のない雑草地に腐葉土をひと坪10kg位いれてみたところ、土の保水力は格段に高くなり、病害虫に強い野菜が育ち、収量もそこそこ多く、草を使った堆厩肥より、高い効果が得られたように思うのです。 アルバート・ハワード先生も、木は草よりもより深いところに根を貼り、表土より多くの無機成分を吸収して葉に送ることから、落ち葉を堆厩肥の材料に使うことは有効であると述べています。久しぶりに、ハワード先生のTHE SOIL AND HEALTH(上) をめくってみました。これら分解された土壌鉱物(無機成分)の循環について次のように述べられています(pp59-60)。 ・腐植は植物栄養分を引き出す唯一の給源ではない。下層土、すなわち腐植層の下になる岩石が風化してできた土壌もまた重要な役割を果たしている。下層土は、いわば原料の貯蔵庫である。ここには粘土や砂などの多くの種類があり、地質学的な生成状態に大きな差がある。下層土はつねに無機成分―カリ・燐酸と多くの微量要素―を含んでいる。・・・無機成分は植物の営みを通して有機物の中に取り込まれ、そして私たちや動物の健康を維持する食物になる。 ・植物はどんな方法で無機成分を維持するのか?すべての植物の根には、どんなに微細な植物でも土壌溶液中から無機成分を吸収する力がある。・・・しかし土壌溶液そのものがどうしてこれらの物質を含有しているのか?それは主に、土壌溶液中に溶在する二酸化炭素の弱い溶解力によるものである。下層土にまではいり込んだ木の根は、そこに蓄えられている可溶性無機成分の富に近づき、この富を組織の中に吸収するようである。下層土中にある低い水位の水を吸い上げるに際して―樹木は深井戸から水を吸み上げる偉大なポンプに似ており―その水に溶解している無機成分をも吸い上げる。その後、無機成分は葉をはじめ植物体すべての部分に流入する。秋になって葉が枯れ落ちると、有機態として蓄えられている無機成分は葉とともに落下して、土壌の表層に還元され腐植となる。土地を良好な状態に維持するには落葉が重要であり、園芸家が腐葉土を重要視するの同じ理由からである。園芸家はこの方法で、野菜・果実や花卉に必要な無機成分を供給している。 ・樹木や森林の破壊は、土地にとってもっとも有害である。そのわけは、・・・土をしっかりとどめている根や、被覆物としての葉などが除去されるだけでなく、必要な無機成分の循環も停止されるからである。 今年の早春から、庭にも畑の側に、ライラックやアーモンドや杏や、オオデマリなど落葉する樹を植え始めました。そのほか、コナラやシバグリなどが実生から発芽したものを刈らずに伸ばしています。柳はかみさんが篭を編むのに使うのだと挿し木から育てています。他の樹々も季節季節に美しく花を咲かせ、ときおり実をつけてくれるでしょうが、これら落葉樹を植えた目的は、日差しの強い夏の時期の木漏れ日があるくらいの淡い木陰と落ち葉です。 「どうして落葉樹の木陰に花畑が広がるのか」 夏に守人様の森の花畑を訪れたときに、その美しさに気持ちが一杯になりながら、片方で草花はは日光をほしがるはずなのになぜ森の中で育つのだろうと不思議だったのですが、この春から落葉樹の葉の茂り方や木陰での植物の育ち方を観察し、草花の育て方を調べているうちに、その理をみつけたのではないかと感じています(そのことについて書いてある本もみつけたような記憶があるのですが、どうしてもその文章の方はみつかりません)。要点は、森に入る光のコントロールと草花がどの時期にどの位の光が必要なのかの理解ということなのではないでしょうか。 例えばベルガモットは芽吹いた春から初夏にかけてはたくさんの日の光を欲するようですが、真夏には逆に強い直射日光が葉に当たると葉が焼けてしまうことがあります。落葉樹は例えばナラ類だと芽吹くのも遅く、葉が広がるまで下の植物はしっかり日の光を浴びることができます。だから、草花が特に日の光が必要となる時期に落葉樹の葉が芽吹き広がる時期をうまく組み合わせれば、森の花畑をつくることができるのではないかと。ただ、森に光が入るようにするためには、かなり落葉樹を剪定し、枝を梳いてやる必要があるのではないかと思うのです。 そして、庭に落葉樹で屋根をつくると、イネ科の猛々しい雑草は減り、扱いやすい草も背が低い比較的やさしいものが生えるようになるのではないでしょうか。 そのことを試してみるべく、3月後半から木陰の庭をつくりはじめました。家の南側の池の紅葉の枝を梳かしながら伸ばし、その下に庭を作ってみています。ただ紅葉の樹の下は枝を梳いても陰が濃いので、半日陰でも育ちそうなアヤメ、シャガ、アシュガ,、ヘビイチゴがなどの草花を植栽してみています。植栽地は土が固く締まり、ドクダミやイネ科の草の根がびっしり張り、ヤブマメが繁茂する場所だったので、掘り起こして苗を植栽する部分に腐葉土をたっぷり入れました。草抑えのため落ち葉や刈草でマルチもしています。 6月上旬、見事にアヤメが咲きました。まだまだ雑草の勢が強く、油断するとドクダミが植えた草花達を圧倒し、ヤブマメの蔓があらゆる植物に絡み付こうとしますが、木陰のせいかイネ科の植物は生えなくなりました。シャガやアシュガは来年でしょうが、これからどう植生が変わり、土が変わり、風景が変わるのか楽しみです。枝を梳くと燃料にも使えそうな粗朶も採れることがわかってきました。
by mukouno-tani
| 2014-06-16 08:40
| 畑と山と食と循環
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