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拝啓 森の花畑の守人様
4月5日に北西の畑の梅の花が、4月13日に南の庭の山桜が満開となりました。 球根族は、スノードロップ、クロッカス、スイセン、スノーフレークとバトンタッチしながら、蕾をつけ、花開いていきます。クレマチスも花蕾をつけた新しい弦をのばし、ギボウシやフジバカマやフェンネルやオミナエシや金水引も新葉を広げはじめました。 4月23日、畑ではオドリコソウが紫色の絨毯をつくり、昨年の秋の雑菜が花をつけています。 草だらけにみえるかもしれませんが、オドリコソウは野菜や花がよく土になってきた証。繁茂するオドリコソウやハコベは夏前には枯れて徐々に腐植しながら畑の土に戻ります。ススキと笹の原だった田んぼ跡に、刈草や落ち葉マルチをし、コンポストで作った腐葉土を入れはじめて6年目です。 様々な資料をまとめたり、家族のための家具をつくったり、本を読んだりしながら、色々なことを発見したり想起したりするのですが、これらのことは記録しておかないとそのまま記憶の底に沈んでいきます。沈んだものは、なくなる訳ではなく、同種のものに触発される度に舞い上がったり、脈絡化や言語化されない確信みたいになって残るのですが、違和感のある議論や他者の発言に対しすぐに思い出せなかったり、肝心なときにそのことに頭がまわらなかったり、そのことに辿りつくのに堂々めぐりの時間を費やしたり(そのようなプロセスを経て、言葉や考えは身についてになっていくのだとも思いますが)、そして、そのまま堆積するにまかせておくと、そのうち、ただ日々に追われるようになると、そのように感じるのです。 私にとって、感じたことをこのように記録し、できる範囲でも脈絡化していくことは、とても大切な日課であるのだなと改めて感じています。しかし、落ち着くのには、もう少し時間がかかるでしょうか。 5月11日、家の西側の庭では混植したワイルドストロベリーとヘビイチゴが花をつけています。栽培種のワイルドストロベリーと比較すると、野の植物であるヘビイチゴは葉も小さく、花も小さいのですが、輪郭がはっきりとしていて、野性があります。 冬越しできなかったのかなと、なかばあきらつつ、繁茂するドクダミや、タチツボスミレやパンダスミレを掻き分けてみると、大振りな濃紺の花を咲かせるサルビア・ガラニチカが小さな芽を出していました。もう1週間で芽がでなければ、新しい植物の植栽をしようと思っている矢先でした。 守人様 植物を育てること、庭をつくることは、日々の様子を観察しながら、葉や弦や花芽や、虫や気候がどう動こうとしているかじっとみつめ、よく考えて必要な場合のみ育つ方向に最小限手伝いながら、時間をしっかりかけ、結果をいそがず待つことが大切なのだと、改めて思い至りました。もしかしたら、植物だけでなく、子育ちも、家のことも、さらには、仕事のことも、社会的なプロジェクトのことも、同じ心持ちが必要ではなのかと思うのです。 ~直売所と連携した有機栽培講座開催2年目~ 5月15日、朝から2年前から仲間やご理解を頂いている直売所と連携して、実施している有機栽培講座の研修農園を手入れしました。直売所で販売できる有機栽培や自然農法の野菜をつくる方が増えないかと思っていることは勿論ですが、関心の強い若い人達と、より年上の直売所出荷者やより様々な地域住民の方々とどうしたら一緒に勉強できるか状況づくりを試してみることも主題としています。研修農園では、沢山の発見があります。 ニンジンの芽 これは、1年前、2013年の春の研修農園のニンジンの芽です。 向かって左と右で芽の生え方が違うのがわかるでしょうか。左の方が右よりたくさん芽が出ています。農園は採土のため山を切った真砂土の空き地であり、土には全く腐植も栄養分もなく、吹きっさらしのすぐ乾燥する植物が育つには過酷な環境です。特にニンジンは発芽まで湿度が必要ですが、みんなの都合で1週間に1回位しかやりができません。 この環境で、播種時に、左側には腐葉土だけ混ぜました。右側には米ぬかと油粕で作ったぼかし肥だけ混ぜました。そして、播種のとき、たっぷり水をやり1週間後、結果は明確に現れました。腐葉土を施した部分は沢山発芽し、ぼかし肥の部分の発芽は少なくなったことを確認しました。 1年前(2013年)の初夏の研修農園 人参や小松菜のあと、同じように腐葉土を施しながら、トマトや、インゲン豆、モロッコ豆、枝豆、ネギ、サツマイモなどを植えていきました。枝豆やサツマイモは栄養分の少ない過酷な環境でも育つようにと、自然農法を30年やられている無施肥で育つ苗を分けて頂いています。ナスやピーマンやその他の果菜類は、真砂土の、痩せた水のあまりやれない土地なので、この年は植えませんでした。このような環境なので夏は地表は40度以上になり、乾燥が著しいと考え、できるだけ畝の上には草や半熟の腐葉土を敷いています。 ソルゴーの壁で畑を囲む 1年前(夏)です。後ろに背高く伸びている植物はソルゴーで、畑の周りには春に蒔いて壁をつくっています。これは風よけであるとともに、野菜を食べる虫への壁になり、その虫を食べる虫を食べる棲家にもなる。また、この圃場は山を切った風の強い場所にあり、そのままだと風で野菜の根は大きく揺すられ根がダメージを受けることもあるそうですが、この壁はそれを防いでくれるそうです。 その年、耕土層(鍬で耕せる土の層の深さ)が30cm程度と浅く、根が土に深く張ることができないのですが、大風が吹いても作物が倒伏することがありませんでした。虫もそこそこ発生しましたが、大発生には至りませんでした。 なお、ソルゴーは、4月末頃、畑の周りを軽く耕して、適当に堆肥を薄く施し土と混ぜた上で、2列、筋播きで蒔いています。 2年目 新たに原野を起こして研修圃場をつくる 今年(2014年)の3月末。新しい挑戦が始まりました。20年来使われず、原野化した農地を、新たに有機栽培講座研修農園にすることになりました。 ここは、7~8年前まで桑の木が生えていて、その後、木は伐採され、草が生えるがままにされていたそうです。土は斐伊川沿いにあるため砂地で、みるからに栄養分がなく、肥料持ちが悪そうです。一面に、スイバとヨモギとヒルガオとイネ科の雑草が生えています。 分析結果によると、pHは5.7と中酸性で若干酸性寄り、石灰と実物に必要なカリが不足し、土中に腐植が少なく、また肥料持ちが悪い土壌のようです。したがって、いつもよりたくさん腐葉土を施肥することが必要だなと、いうことになりました。 一般的に、化学肥料を使う農法では、重い耕運機で何回も表土を抑えて土の中に水や肥料が通りにくい層(硬板層)をつくり、その上を耕して使用するそうですが、根をしっかり張らせて成長させる有機栽培や自然農法では、硬板層は植物の育成の妨げになります。そこで、そこで最初に、畑を深く掘り、硬板層のありなしやその深さをまず確認することが必要とのことです。そして、硬板層がある場合は、先に機械を用いて砕いたり、地中深く根を張る大麦やマメ科の植物などで徐々に砕いていくのだそうです。 この畑を掘ってみると、砂地であり硬板層はありませんでしたが、30cmより下は、まったく腐植のない砂で、肥料持ちのとても悪く、水持ちも悪い場所であることがわかりました。 今年(2014年)の4月中旬。水持ちと肥料持ちが悪いので、10m×1mの畝に、30リットルの腐葉土を混ぜ合わせた上で、赤のリーフレタスの苗で挟んで小松菜の種を蒔きました。小松菜は30cm間隔で4~5粒ずつの点蒔きです。リーフレタスの苗は腐葉土と鹿沼土の培養土で育苗したものを参加者から提供して頂いたもので、根張りがとてもよく、乾燥が強く、風も強い場所でも萎れずにしっかり生長しています。 キク科のレタスとアブラナ科の小松菜はお互いの葉を食べる虫を忌避させる植物(コンパニオンプランツ)で、近くに植えると虫食いを軽減できるといわれています。また、赤色はアブラナ科につく虫が嫌うといわれています。 これは約1ヶ月後、5月中旬。小松菜とリーフレタスは立派に育ち、この後、収穫され直売所に出荷されました。同月、畑の周りにバンカープランツとしてソルゴーが播種され、腐植が少ない農地でも育つジャガイモ、トマト、ニンジン、ショウガ、ゴボウ、乾燥に強い小玉スイカなどが作付されています。 また、6月の初旬には、ダイズ、ポップコーン、サツマイモを新たに定植する予定です。 2014年6月2日朝。再び、向こうの谷の庭です。 朝、南の庭の植物をのぞいていると、新しい事実を発見しました。庭には、フジバカマ、ドクダミ、ラベンダー、サルビア・ガラニチカなどを植えているのですが、その間からハコベが伸びて勝手に繁茂しています。 ・雑草で土地をカバーしておくと、雑草の花や葉にも虫が集まるので、大切にしたい植物だけが攻撃されることは少なくなる。この場合の「カバー」とは、雑草をぬいて地面においておくという意味ではなく、雑草をぬかずにはやしておくという意味である。偏食タイプではないナメクジは、雑草が生えていれば、わざわざ高いところや遠くまで食害に行かなくてもよく、手近な雑草ですませてくれる。…そうはいっても庭の場合、雑草がぼうぼうに茂っていると見栄えが悪いので、ある高さのところで刈りそろえておく。…3センチでも5センチでも、自分が見苦しくないと思える高さでよい。昔の原っぱは、そういう感じだった。(p29) ・グランドカバーは、芝だけではない。むしろ単一の芝よりも多種多様な雑草が生えているほうが、ある特定の虫が大発生したり病気になったりすることを妨げる。そして、刈りとった雑草はよく乾かして草木灰にするとよい。(p29) …ヨモギなどを庭に生やしておくと、ヨモギ好きなアブラムシが発生してくれる。テントウムシは、どんなアブラムシでも食べるので食べるので、ヨモギ以外の樹木や草花につくアブラムシも食べてくれる。(p30) このことを確認し、向こうの谷の庭の雑草の管理方法を変えました。ハコベやウシハコベなど虫の食草になる雑草は、草花の生育に妨げになるほど茂った場合のみ、根から抜かずにちぎることにしました。そうするとどうでしょう。やわらかそうなフジバカマの新芽へのバッタに食害がさらに目立たなくなくなりました。 畑でも同じ考え方で、雑草との付き合い方を少しずつ変えてみています。ところどころアブラムシの好きなヨモギの群落を作ったり、虫が好んで食べるギシギシをある程度残したり、ハチが好むレモンバームを植栽したり、土を肥やす白ツメ草もできるだけのこしています。 草だらけにみえるかもしれませんが、草があるからできることもあります。枝豆やトウモロコシの種は鳥にみずからずに本葉を出しています。のび過ぎた雑草は駆られて野菜の根元に草抑えや乾燥抑えのため敷かれます。 守人様。やはり、庭は、自然の営みの理や、人が自然とつきあって生きていくために理解しておくべきことを学べる、自然に向かう人の暮しの窓です。畑や山でも同じことを学べますが、もっとも日常にある身近な存在だと思うのです。 今年から、果樹や落葉樹とのつきあい方や、虫や鳥とのつきあい方もすこしずつ勉強していこうと思っています。こころ静かに、ゆっくりと色々な生き物のうつろいと変化を観察しながら、庭づくりをつづけていこうと思います。
by mukouno-tani
| 2014-04-22 06:58
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