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島根県内の積雪地で冬期に展開できる野外体験宿泊プログラムづくりを行った。
親子づれの家族、カップル、友人同士など、従来の”アウトドア”より間口の広い野外体験宿泊のコンセプトとコンテンツのアウトラインをつくる(リゾート感をもって宿泊できるプログラムをつくる)ことを目的としている。 野外体験産業研究会の設立より前に実施されたプログラムであったが、その後の2年間の本研究会の取り組みのアウトラインが既にある。 主旨 本プログラムの主旨は、地域の風土を最大限活用して従来の”アウトドア”より間口の広い野外体験宿泊のコンセプトとコンテンツのアウトラインをつくることである。そのことを、A町(現I町:中国山地標高450mに位置し、冬季は積雪1m、日中でも氷点下近くなる日が続く)の冬季の厳しい条件下のケースで組み立てた。 実施体制 本プログラムは、積雪期の野外体験宿泊に関心のある者に対する研修と、上記主旨に述べたコンテンツづくりを重ね合わせる形で実施された。 プログラムの運行、コンテンツづくりについては、しまね自然の学校、mamoshopの指導協力を得て行っており、体験プログラムのデザイン、ユーザー(参加者)モニタリング、宿泊機能として使用を想定する雪洞「SNOW CABIN」の耐久データ蓄積を行っている。 プログラムのデザイン A町冬季の条件下で、地域の風土を活用して従来の”アウトドア”よりユーザーに対する間口の広い野外体験宿泊プログラムを作るにあたり次のことを課題とした。 ・親子づれの家族、カップル、友人同士等がリゾート感をもって宿泊できるプログラムとする。 ・赤来町冬季にもっともふんだんにある素材である雪と一般的気象条件である寒さを最大限利用する。 ・”厳冬期に雪洞で家族やグループで宿泊するという行為”を、”家族やグループ間のオリジナルで質高く心地よい経験の共有”として感じてもらうためのプログラム及び空間デザインのアウトラインづくり しまね自然の学校「スノーキャンプ」 今回の雪を材料として作るドーム(雪洞)「SNOW CABIN」と、そこに宿泊するプログラムは、しまね自然の学校の「スノーキャンプ」を原型としている。「スノーキャンプ」は、参加する子ども達が、しまね自然の学校のスタッフのサポートで、自分達の泊まる雪洞を作り、冬季の屋外で食事を作り、宿泊するプログラムであり、10数年継続実施されている。宿泊に用いられる雪洞の構造及び作成方法は、スタッフの雪山登山等の経験に基づき確立されたものであり、特徴である観音彫り構造は耐久性に優れ、”かまくら”と呼ばれるものが1日の宿泊にも耐えないのに対して、このドームは天候がよければ数日の使用に耐える。また同じく「スノーキャンプ」に関わる屋外での食事や宿泊についても、スタッフの経験に基づきリスク管理手法が確立されている。また雪洞内は外気温に関わらず-2度より下がることはなく、徹底した防濡と就寝時の防寒があれば宿泊できることが既に実証されている。 「SNOW CABIN」のデザイン 家族だけの心地よい思い出 ”体験する家族みんなの”家族だけのここにしかない心地よい思い出”を意識して次の3つの場面をつくった。 ・みんなで一夜を過ごすSNOW CABINを作る場面 ・一緒に屋外で食事をつくり、冬の星空の下で食事をする場面 ・外部の全てを遮断する雪洞の静謐の中でみんなで宿泊する場面 リゾート リゾート感を演出するために、食事場面のデザインとスタッフの動き方を意識した。 ・食事の場面について:mamoshopほかの指導・協力を得て、リゾート感を演出する調度(チェア、カトラリー、照明等)、食事内容(※厳冬期での屋外での食事ということを意識)、サーブ方法等についてのコンテンツ作成を行った。実験的に使用した調度は次の通りである。 TOY2脚(フィリップ・スタルク)、ボウチェア10脚 エア・テーブル1脚(ジャスパー・モリソン) LED照明(外部照明、SNOW CABIN内部照明) カトラリー(柳宗理等)×2セット 焚き火台(岡野正美)1台 ダッチオーブン2つ ・スタッフの動き方について:SNOW CABINの作成をサポートする場面、リゾート感を演出する食事・宿泊の場面での参加者(お客)と接点をもつスタッフの交替及び服装の切り替えなど プログラムの流れ <1日目> 13:00 オリエンテーション (参加者へのプログラムで追求している可能性、冬季の野外活動の注意点、プログラム流れ、参加者のプログラム内での立ち位置等の説明) 14:00 SNOW CABIN 作成作業開始 17:00 夕食準備 18:00 夕食~サロン (参加者に擬似体験して頂いているサービス・ツール等のデザインについての説明、焚き火を囲んでの談話) 21:00 就寝 <2日目> 7:00 朝食(屋外にて) 9:00 フィードバックミーティング (疑似体験しての感想の聴取、可能性や課題についての意見交換) <その後> ※SNOW CABIN 耐久実験 (SNOW CABINがメンテナンスなしでどの程度の期間もつか、どのような溶け方をするか定点観測) 結果 体験プログラムのデザインとユーザー(参加者) 可能性 サロン、フィードバックミーティングより ・参加者にとって、冬の屋外での野外活動や、SNOW CABIN(雪洞)をつくる、冬の夜空の下で熱々のスープを頂く、雪洞で寝るの3つのプロセスが、「寒さ」を意識させないほど圧倒的だった様だ。参加者全員が初体験であったからかもしれない。 ・特に女性の参加者は、リゾートを意識してデザインされた食事場面やSNOW CABINに用いられた照明に心地よさを感じていた様である。 課題 フィードバックミーティングより ・参加者の中には雪洞づくりと夕食づくりには参加したが、食事後のゆっくりした時間やサロンには加わらない方もいた。企業や自治体の職員さんで職務で研修に参加しているという方が多かった様に思う。 ・その方達の感想は、雪洞の作り方についてが主で過ごした時間の質等についての感想は少なかった様に思う。 ・研修プログラムとしてはどの場面がポイントなのかより具体的に伝えるべきだと考えた。これは顧客(ユーザー)への「SNOW CABIN」の伝え方においても同じことが言える。 雪洞「SNOW CABIN」の耐久データ蓄積 ・プログラム終了後、5~10度程度の暖かい日が続いたが「SNOW CABIN」は形を保ち続けた。 ・また、形の崩れ方は崩落ではなく溶解であった。即ち、天井の重さに耐え切れず突然重量のあるものが崩れ落ちるのではなく、雪の壁が解けながら一様にゆっくり薄くなり、壁の薄い部分から穴があいて解けてなくなる。従って、しっかりしたものをつくれば連続使用した場合も上から重量のある雪が崩れ落ちるリスクはあまり考えられないことが証明された。 ※ちなみに、SNOW CABINは、中に人が入り温度が上がると、内部の雪壁が溶けて徐々に中に含まれる空気層から空気が放出される。従って、氷でできたドームの様に密閉すると中の者が窒息するということはない。 この実験の企画~実施のプロセスを通し、従来の”アウトドア”より間口の広い野外体験宿泊のコンセプトは定まった。そして、この実験で得たデータを踏まえ、より様々な野外空間をフィールドとして野外体験研究会の実証実験は次の段階へへと進んでいく。「SNOW CABIN」も次の展開へと進んでいく。(続く)
by mukouno-tani
| 2010-10-08 07:21
| 野外体験産業研究会(活動)
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