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拝啓 森の花畑の守人様
2017年8月25日の朝です。今日は暗いうちから静かに雨が降っています。暑い日が続いたあとの、落ち着いた雨模様は心地よいものです。 先週の日曜日から少し力を入れてメヒシバやイノコズチがはびこりはじめ、ヤブガラシやヤブマメやヤマノイモの弦と葉が沢山絡んでいる、庭や畑の手入れを始めています。昨日は弦や背の高い雑草やミントを取り除き、徒長した樹の枝を剪定していくと、そこに春先にしっかり時間を掛けて選んで植えた小さなブルーベリーの樹があるのを発見して、6月頃からすっかり忘れていたことに呆然としました。そこに、もっさりと茂った日々の仕事や暮らしの枝葉に覆われて、目の前にある大切なことが見えなくなっている私を発見したからです。 ブルーベリーは、少し目の力の弱い末娘に食べさせようと毎年少しずつ植え増やしているもので、3年ほど前に植えたブルーベリーの樹の方は、背の高い草やヤブガラシやカボチャの弦に絡まれながらも、たっぷりと大粒の実をつけていてくれました。このことに感謝し、両手一杯の紫の大粒の実を子ども達に持っていきました。 これからの藪になりかけた庭の手入れことを考えていたら、昨日、組織のマネジメントを主務としている同僚が話していたことを思い出しました。どんどんコミュニティ研究(仕事)の戦線が広がっており、それぞれに大切なことなのですが、人手は限られているので、長期的な目線に立って「これは5年後にはより大切になる」、「これは見直した方がいい」、「これは本来あそこがやるべきだが」と話しながら、整理されながら形になってきたものをみて、彼が「だいぶいい枝ぶりになってみましたね」といいました。そのときは、ふ~んと思っただけでしたが、数日おいて改めて考え直すと、それはとても大切な、「いま」や「これから」の捉え方ではないのではないのかと感じたのです。 樹を剪定する前、庭に手をいれる前、畑を耕す前、いきなり歩み寄って作業をはじめるのではなく、まず遠くから眺めて、どう手を入れたらいい姿になるかとか、そもそも自分の思い描くいい姿とはどんな姿なのかとか、そのような手入れが生きものである樹や庭や畑にどう影響をあたえるのか、ということを考えてみます。 大きな組織のマネジメントの世界を歩いてきた彼は、私たちが育てている研究事業という樹をそのようにみているのかもしれません。目に見えない思想や論理を幹とする方法とシステムの世界と、樹や庭や畑の世界に、それぞれに剪定師がいるというアナロジーを不思議に感じ、また、ときおり「遠くから眺めてみる」という行為の大切さを感じています。 最近、暮らし方についても、剪定が必要だという感じを強くしています。樹の剪定や庭の手入れに例えるなら、まず暮らしをどういう姿にするか、その像を描くことが大切で、それにてついては研究中で、これは、50に近づいてきた私が、これから更に年をとりながらどういう生き方や暮らし方をし、暮らしの空間をチューニングしていくかということが深く関わっていると思っています。老いつつある両親達とこれからの住まい方について会話を重ねながら、沢村貞子さんやメイ・サートンさん、平川克美さんなど先達の方達の著書で勉強させて頂き、時折、親しい知人達と議論させて頂いたりしながら、少しずつ形づくっていきたいと思っています。 沢村貞子さんは『老いの楽しみ』の中で、晩年、馴染んだ1軒家を整理して、海辺のマンションに移られたことについて語られています。 暮らしの空間の剪定については出来る所から少しずつ始めていますが、この夏に読んだ野口悠紀氏の『「超」整理法』が剪定方法に明確なフレームを与えてくれました(この本は10年以上前に購入し、以来、本棚にあったのですが、ようやく手が伸びたという感じです)。 特に、重要だと感じた点を抜き出してみます。 ・平均アスクセスタイム…頻繁に使うのもが早く検索できれば平均アクセスタイムは短くなる(P152) ・ポケット1つの原則…人間の記憶は場所については弱い。だから内容に応じて置き場所を区別すると見つからなくなる。…すべての書類を1つのポケットに入れる(P83) ・時間軸検索…使用する書類の大部分は最近使ったものの再使用である。…人間の記憶は時間軸に関しては強い(P152) ・(使用する整理法の)ハードルは低いか?…手間がかからず、簡単に運営・維持できるか。仕事の一環として本来の仕事の流れを中断せずにできるか。(P152) ・(使用する整理法に)捨てるためのプロセスが組み込まれているか?…不要物が残存していると、検索スピードが遅くなる。(P153) ・仕事は短期間に集中して、効率的にすませるほうがよい。そして、遊ぶための時間を作り出す。…(整理の)システムの最終的な目的は、ここにある。(p202)。 まずは、本の整理。どうしても本の数が増え、混沌なりがちだったので、1年前に、持つ本の最大数を決めようと決意し、分解・移動できる100cm×180cmの本棚を4つつくりました。3つはハードカバーと雑誌用、1つは文庫本用で、本の量のコントロールの他に、本を読む時期に入った子達に向けて本を公開するためのものでもあります。文庫本用の本棚は表と裏で使い分けれるようにしました。表側には文庫本が並んでいますが、裏側は使用頻度の低い本の仮置き棚です。いまの所、どうしても新しい本を買うことは止められないので、片方でこの仮置き棚の使用頻度の低い本を定期的に整理し、本棚に収まるように量をコントロールし始めました。理想は、この本棚の数そのものが減っていくことです。 二つ目は食器の整理。これまで水切棚、台所の食器棚、普段は使わない食器棚と3つに分けて使ってきましたが、次の方向で整理をはじめました。 ①水切棚に置くものはコップ、茶碗、お椀、小皿など本当に毎日使うものに絞り込む 理想は、最終的に水切り棚と台所の食器棚の2つにまとめてしまうことです。 三つ目は普段は使わない物の物置スペース。現在は2か所に雑然と積み上げているのですが、それぞれの物置スペースの役割を明確にして、次の方向で整理をはじめました。 ①物置棚(1つ目) 物置棚の組み立てパーツが仕上がった所で、年末に向けて組み立てにかかる所です。これは数か月から数年に1回使うもので、利用目的別に分類します。例えば古いパソコンの機材や古い雑誌や子供達の使っていた物などでしょう。そしてここにも捨てる棚を設けるつもりです。 1つ目の物置棚が稼働しはじめたら、次に作成する予定。こちらは、捨てることを前提とした物置棚。例えば予め分別前提の整理棚になっていて、2か月に1回程度捨てるのがいいかなと思っています。1つ目の物置棚の捨てる棚からもこちらに移していきます。 これら2つの物置棚も最終的には1つの物置棚になることが理想です。 四つ目は、まだ未着手ですが、畑と資材・道具類にも同じだと思いますのでついでに考えてみます。 今年の畑づくりの最大の間違えは「人の通り道をあまり考慮しないで畑を使ったこと」にあったことに、ようやく気付きました。きちんと人の通り道を確保せず、ナスとピーマンと大豆の畝を豆棚とソルゴーの壁で囲んでしまったので、結局、ただでさえ忙しい私もかみさんも区画に近づかなくなり、利用しなくなってしまったのです。 昨日、静岡に暮らす庭師を仕事にしている友人が数日うちに遊びに来てくれていたのですが、「庭も家も余白がなくなり、人が通りにくくなると、そこの空間が使えなくなり、さらにそこにものを置くのでその空間が本当に使えなくなってしまう。死んだ空間に家賃や地代を払っていることになる。」と話してくれましたが、本当にその通りだと思うのです。来年はしっかり、人の通り道や作業(特に除草)を考慮に入れて畑づくりに臨みたいと思います。 その上で、他の反省点・改善点も整理しておこうと思います。 □雑草の管理と畝間の幅の取り方 野菜の畝間は十分間をとって、草が盛らないうちに定期的に草刈り機で刈ってしまう(6~8月は10日に1回程度の草刈りが必要かもしれませんが、あとは月1回位で十分だと思います)。草が盛る6~8月は少し手間ですが土づくりも兼ねて畝ごと草マルチをして草抑えしてしまうのがいいと思っています(草マルチは土を確実に肥やしてくれています)。 □コンポストの運用方法 家庭用の生ごみを中心に、収穫後の野菜の残った枝葉、抜いた草などを入れて堆肥化し、主に野菜や草花の育苗用の土に使う。家庭用生ごみの入った堆肥は窒素分が高いようで植え替え後の苗を大きくする際にはよく効きます。ただコンポストはしっかり水が抜ける構造にし、時折、生ごみの中に意識して草等を入れてやらないと腐敗してしまうことがあります。 □収穫後の野菜の茎葉の処理方法 自然栽培の方法を参考に、その場で小さく刻んで畑に戻す(病気のことがいわれることがありますが、家庭菜園レベルでは今のところ問題はないようです)。 □資材の保存場所と管理 ネットや支柱等の資材については畑に資材置き箱をつくりそこに収納する(農作業が忙しい時期は大抵、他のことも忙しい時期で、防虫ネットやパオパオの資材、竹や鉄パイプで作った支柱を畑の上に直接置きっぱなしにしてしまい、その結果、資材の寿命も短く、畑の景観も雑然としてくる)。 □肥料袋の保存場所と管理 家の軒下に肥料や培養土を収める大きな収納箱を作りそこに収納する。畑の近くで置いておいた方がいいイメージのある肥料や各種培養土ですが、うちの場合、作り方が自然農法に近く用途は苗づくりと追肥(回数は少ないですが)に限られ、苗づくりは縁側に近い箇所で行うので、軒下の方が動きに無駄がなくなると考えています。また、使いかけの培養土や肥料の袋、使った後の袋を開いたまま置きっぱなしにしておくと、袋も中身も痛みがは早くなりますよね。 □農作業の道具(大物)の置き場所と管理 家の軒下の人の導線上によく使う農具(鍬、備中鍬、タケノコ堀用鍬、レイキ、フォーク)等を立てれる棚を作りそこに収納する。肥料袋の隣が便利でいいかもしれません。それほど使用頻度の高くないものは別途、収納棚を作ろうと思います。道具を雨ざらしにしているため柄の部分の摩耗が早く手間とお金がかかっていました。 五つ目も、まだ未着手ですが庭の手入れの道具類兼農作業の道具(小物)、種についても考えてみます。 これは、スコップや鎌など日常的に土に接触するものと、剪定鋏やペンチ、紐、針金、金づち、玄能など土に接触しないものに分けるのがいいような気がします。 また、種等は冷蔵庫保管が必要なものを除き、直接土に触れないものと一緒に保管するのがいいように思います(一緒に使うことが多いので)。 □直接土に触れるもの ・スコップや鎌等の道具…苗用のプラスチック製の平籠に入れて、屋外の流しの横に収納する ・苗用のポット等 …苗用のプラスチック製の平籠に入れて、農繁期は苗づくり用の作業台の上に置く。冬場は肥料用の収納箱に収納 □直接土に触れないもの、種 ・玄関横の収納スペースに苗用のプラスチック製の平籠に入れて収納(分類し、いつでもそれ毎出し入れできるようにしておくとベター) 勢いがついて畑と庭の空間の”剪定方法”まで検討してしまいましたが、こう考えると、畑も庭の場合は、”植物が育ちやすい環境づくり”というもう一つの大きな軸と、使いやすさという軸(超整理法で述べられている、”平均アスクセスタイムを短くする”、”ポケット1つの原則”、”時間軸検索”、”使用する整理法のハードルの低さ”、”捨てるためのプロセスが組み込まれているか”のこと)で組み立てていくといいのかなと考えいたっております。 この文章を書きはじめたのが8月25日、現在が12月13日。4か月近くも時間が経ってしまいました。 その間も、仕事や家事に忙しくしていたのですが、もう少し、この日々感じ、考えたことをまとめることに時間を持てるよう、仕事と暮らしをチューニングしていきたいと思います(超整理法の最終的な目標やこの文章をまとめた目標もそこにあるのです) 一昨日から、雪が降り積もりはじめました。たぶん、根雪になるでしょう。これから3月下旬の雪が溶けるまでの間が、私にとっては書くこと(まとめること)と作ることに集中できる時期。そこに向けて集中できるよう、環境整備を進めていきたいと思っています。 (あと、写真を加えていきます)。
by mukouno-tani
| 2017-08-25 07:35
| 野研ノート(デザイン)
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