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この家に移り住む年ほど前に、野外体験産業研究会に関わる者達で北欧の田舎と都市を調査研修したことがある。
我々の主題は、北欧の国々の人々の暮らしや自然との関わりを見聞し、わが国のこれからの暮らしの形を考えることであったが、同じ旅の行程が建築、森づくり、アイアンワーク、デザイン、地域経済の5つの目によって別の角度から切り取られ、それを共有することで5倍のボリュームを持った。学ぶ旅とはこのような集団でするものだ。そう思った。 北欧4カ国を点々とするなかで、スウェーデンではスカンセン博物館に多くを学んだ。ここでは、彼の国の十六世紀から二十世紀初頭までの伝統建築が移築されており、それぞれの時代の人々の暮らしの様子をみることができる。特に、家の形やライフスタイルとともに変化する火回りは面白い。 中世から近世の彼の国の家屋はログ組みの樹皮葺き・板葺きである。暖房・調理の中心は、最初は日本と同じく囲炉裏であったようであり、屋根には煙を逃す開け閉めできるフタがついている。 十九世紀の農家には石や煉瓦で積んだ立派な煙突のついた大きな暖炉がある。そして、その後も、火回りはより効率よく熱利用できる形に進化・分化を続ける。 都市部では集合住宅用のセントラルヒーティングに進化する。一ヶ所で焚かれた火の煙が太いパイプを通り天井にある煙突から抜ける。各家ではその煙突で食べ物も温められるようになっており、煙にある熱を煙突までの間に利用しつくそうとしているのがわかる。 田舎では、暖炉は更に薪ストーブや、1つの火で湯沸かし、調理、パンが焼けるキッチンストーブに進化する。その後、キッチンストーブは他の調理器具に主役の座を譲るが、薪ストーブは、あちらこちらに北欧のメーカーの薪ストーブがみられるように、更に熱効率やデザイン性を洗練させ続けている。 そのスカンセン博物館の近世の台所の展示室にキッチンストーブと電磁調理器が並んであった。近くにいたガイドさんに「なぜ電磁調理器があるのか」と聞いてみると、スウェーデンでは十九世紀後半から夫婦共働き化が進み、冷凍食品など”調理時間を短縮する道具”が早くから暮らしの中に取り入れられたとのことである。 他方、キッチンストーブは余裕のある週末や長期休暇に”家族の時間を過ごす道具”として使われ続け、現在でもそんなライフスタイルを志向する家が多いのだそうである。 その時代に適応し、便利な道具を使いつつも、家族や一緒に火を熾し食卓を囲む質の高い時間とそのための道具を意識して用いる北欧の人々の暮らし方に、これからの時代の家族の暮らしのスタイルをみたように思った。”いま”の暮らし方・働き方に適応し便利な道具を使いつつも、質の高い家族の時間のための道具も意識的に用いるハイブリッドなライフスタイル、ハイブリッドなキッチン。 北欧の人々は、田舎や郊外に暮らすか、或いは森や湖の畔に休暇を過ごすコテージを持つことで、それを実現している。
by mukouno-tani
| 2009-12-02 23:09
| 野研ノート(デザイン)
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