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毎年、盆はかみさんの富山県の実家に、正月は私の熊本県の実家に行くのが私達家族の習わしとなっている。大抵、かみさんと子達がバスと電車を乗り継いで先に富山に行き、私が後で車で追うのであるが、移動中大変らしい。いつも誰憚ることなく暮らしているためだろうか、子達の声が大きく、3人でじゃれはじめると周囲の人達がびっくりするらしい。彼らはどこでも自然体である。街中でも虫をみれば追いかけていくし、いつも家の前の小川で遊んでいるせいか、水があるとついつい覗き込んでしまう。
そんな、かみさんの実家の盆の、私にとっての印象は、精霊やぐらである。それは、かみさんの母親の実家、富山県上市町の盆の行事だ。 カンカンカンと鐘を鳴らす音と読経が川下から聞こえる。上市川の河原に立つ6メートル近い精霊やぐらがハゼながら燃える周りで、集落の人達が「しょうらいしょうらい」と静かに火のついた藁の束を回して歩いている。 夜の河原に点々とみえる火柱や周りに集う家族や縁者の姿が、ここの子どもや家族の当たり前の盆の風景なのだろう。その人達の風景が、このような地域に、そしてきっと信仰にも深く関わる行事がない街中の核家族に育った私や、転勤と転居で故郷との関わりが薄かったかみさんには、いつも美しく、そして羨ましく感じられる。 その母方の実家に親類縁者が集まる出来事があった夜。長老から若者まで男衆が酒を飲みながら、家や仕事、近所や親戚の近況などを話している。こういう経験のない私は、少し緊張しながら周りの様にしていたが、ふと、家長の言葉が耳に入った。「食べ物が手に入らん難しい時代が来ても、親戚の分まで作るように(息子には)言ってあっちゃ。」近くで、小さい頃から家長の田仕事を手伝い、今は家族を持つ息子さんが頷いている。 こうして世代を超えて一族や一族の暮らす地域を守る思いが引き継がれていくのか。四十歳を前にしてはじめての経験だった。 よく、私達家族が暮らす今の山の中の家を紹介して下さった集落の顔役さんが田や祭事に働く傍らで、子ども達が手伝ったり遊んでいたりする場面に出会う。昭和30年代まで過去から連綿と続いてきた社会、そしてそれを見失った我々がいう持続可能な社会(地域)とは、このように家族や暮らす地域を守る思いが、風景や知恵や環境とともに世代から世代へ引き継がれる状態でないだろうか。
by mukouno-tani
| 2009-11-30 21:51
| 野研ノート(地域)
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