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標高500mの向こうの谷の気候では、6月終わりから7月前半が、堆肥の仕込みの時期なのだと思い定め、早朝や日が暮れる前にせっせと草を刈っては、小積んでいる。
家裏の湿地や山道の路肩や田んぼの畦畔の草が著しく伸びる、梅雨の期間こそ、堆肥の材料である刈草を分解する微生物が活発に活動する時期なのではないかと考えている。 理由は2つある。 1つは、この時期、草を刈り、畦の上に積んでおくだけでも、手を入れると熱いと感じるほど摘草は醗酵熱を持ち、著しい速さで、分解されていくからである。醗酵した草をめくってみると、白いカビがたくさん発生しており、菌など微生物が、盛んに活動していることが見て取れる。 2つは、地面の上の茎葉の生長は、地面の下の根や毛細根と、その周りに生息する菌類など微生物の共生関係に支えられているからである。地上部の生長が著しいということは、地中において共生関係が活性化しており、梅雨の時期の地温と湿度が、地中の菌など微生物の活動にも好ましいではないかと考えている。 エアハルト・ケニッヒ先生は、『生きている土壌』の中で、地中の共生関係について次のように書いている。 ・土の中で植物の根が密集しているところでは活発な生物的な転換が起きている。こんな場所を「根圏」とよんでいる。・・・根が伸び広がってない所と比べると、微生物の活性は特に高い。・・・根圏の微生物の量は非根圏にくらべて一〇ー二〇倍も多いと見られている(p78)。 ・植物と土の中の微生物との共同生活は、根のすぐ近くの・・・根圏の中にはっきりと見られる。ここには糸状菌と細菌が集中的に集まっている。・・・根はたえず有機物を放出し、多数の細胞を離脱させて、それにらは微生物の食べ物となり、反対に微生物のほうは植物の根に対して養分を可用性にすることによって協力している(pp81-82)。 ・樹木、潅木、草本植物などの根は、特にその生育初期に土壌中にいる菌類と共生関係にあるものも多い。こんな現象には・・・菌根菌が関わっている。土壌の腐植中に生きる菌類のあるものは根の細胞の中に入り込み、植物との密接な共生を営むようになることがある。この場合、根の中に入り込んだ菌糸体は次々と植物に消化される。その共生が終わると、根は菌を破壊し、その炭水化物、タンパク質やチッ素、無機成分などを受け取るが、これらは土壌中の腐植から菌が溶かし出したものである。つまり、菌根菌は、腐植の多い豊かな土壌と、その上で育つ植物を結びつける生きた橋を形成していることになる(pp83-84)。 菌類など微生物の活動以外でも、堆肥の活動にとっての条件が揃う。材料になる草は家の周りや道脇や畦などにふんだんにあり、しかもこの時期に刈っておくと夏以降の草管理がとても楽である。刈草はしっかり水分を含み、外気の湿度も高いため、刈草を積んだあと散水など水分を補う必要がない。 ということで、今年から、梅雨の時期に、堆肥の仕込みを積極的に行っているのである(水分がある状態のうちに材料として刈り倒しておくだけでも醗酵の仕方が、随分違うと思う)。 堆肥の製造は、主にニュージーランド箱1基とコンポスト2基を使って行っている。 あわせて5瀬ほどの畑と、家と畑の周囲の庭に必要な堆肥は、併せて3基からの供給で十分間に合っていると思う。 ニュージーランド箱は、J・I・ロデイル先生の『有機農法ー自然の循環とよみがえる生命』で紹介されている。ニュージーランドのオークランド堆肥クラブで考案された小園芸家向けの堆肥製造用箱で、うまく使えば、連続して堆肥を作り続けることができる。 本の中では、縦八フィート(約240cm)、横四フィート(約120cm)の箱をつくり(底は直接地面に接している)、真ん中に間仕切りを入れて2等分し、さらに仕切った片方の箱を真ん中で仕切り2等分して、最終的には3つの区分(A区、B区、C区)に分けている(従って、A区=B区+C区となる)。 私の家では、材料に近くの資材屋さんから頂いてきたパレットを使って箱を作っているので、寸法は若干小さく、縦約220cm、横約110cmであり、仕切りにもパレットを使っている。 また、雨よけのため、使い古しのコンパネやトタンを蓋として使っている。 使い方は、ロデイル先生の本を参考にしており、おおよそ次のとおりである。 <第1ステージ> A区 6月下旬 ※向こうの谷の場合) ①刈草を押し切りで10~20cmの長さに切断し、A区に30~40cm程度積む。 ※切断しなくてもできるが、その方が、醗酵が早く進み、あとの作業も楽なように思う。 ※少し腐った刈草を混ぜてやると、醗酵はさらに早く進むように思う。 ②刈草が生の場合は、何もしなくていいが、乾燥してる場合は、ジョウロやバケツで、草がしっとり濡れるぐらい水をふりかける ③②の上に、畑の土と、あれば牛糞や鶏糞をあわせて、2~3cm程度積む。 ※牛糞を使う場合は、塊は砕いたほうがいい。牛糞や鶏糞は使わなくてもできるが、若干、堆肥の窒素分は少なくなる(自然農法の場合はその方が好ましい)。 ④れば、石灰を少しふりかけてやる ⑤若干、フォークなどで、①~④をかき混ぜて、①、②、④が層のまま残らないようにする。 ⑥A区がいっぱいになるまで、①~⑥を繰り返す。 ※最後に、棒などで、地面まで届くような空気穴を通してやるといいらしい(やってなくてもできるが) <第二ステージ> A区からB区に移す 8月下旬 ①約2ヶ月間、A区の様子をみて、醗酵にむらがありそうなら、1~2回、フォークでかき回す ②約2ヶ月後、A区の醗酵が進み、積んだ刈草のかさが半分位になったら、かき混ぜながらB区に移す。A区からB区に移すこと作業が、通常の堆肥づくりでの切り返し作業になる。 ③空いたA区には、新たに刈草を仕込む <第三ステージ> B区からC区に移す 10月下旬 ①さらに約2ヶ月間、B区の様子をみる。乾燥気味の場合は、ジョウロやバケツでしっとりなる程度水をやり、フォークで簡単にかき混ぜる。 ②約2ヶ月後、B区の醗酵が更に進んで、刈草の形状がなくなり、繊維がほぐれてバラバラになってきたら、かきまぜながらC区に移す。これが最後の切り返し作業になる。 ③空いたB区には、A区で仕込んだ刈草を移す。 ④空いたA区には、新たに刈草を仕込む <第4ステージ> 翌春 C区のものを堆肥として利用 ①C区では堆肥が出来上がっているので、春作(3月下旬)から利用できる 刈草の量は最初の刈草の嵩の4分の1~5分の1程度になるが、うちの3瀬程度の畑では、最初の野菜の元肥と、育苗用の土づくりはこれで足りる ②4月下旬頃、C区が空いたら、B区の刈草をC区に、A区の刈草をB区に移す。 <第5ステージ> 2年目以降 2年目以降は、前年仕込んだB区のものが、夏には使えるので、年2~3回、ニュージーランド箱で堆肥が生産できるようになる。 コンポストは、南の畑に2基設置し、主に家からでる生ゴミ、畑で曳いた草や時期を過ぎた野菜の残滓などを堆肥化するために使っている。主な材料は頂いてきたパレットをバラしたものであり、1号基は120cm(高さ)×70cm×70cm、2号基は90cm(高さ)×100cm×100cmである。使用してみた結果、2号基の寸法の方が乾燥しにくく、醗酵が安定しているように思う(現在、3号基を、別の畑で検討中だが、これは、パレットをそのまま使い、90cm(高さ)×12Ocm×120cmにしようと考えている)。 5月から生ゴミや草や野菜の残渣を仕込むと、翌年春4月には堆肥として使える。 写真は、コンポスト1号基である(7月初旬時点、堆肥を利用中)。たまたま紛れ込んでいたジャガイモの小芋が生長するほど、堆肥は完熟している。前面の壁は、使用中のためとってあるが、仕込んでいる途中は取り付けてある(ネジで脱着可能に作っている)。 コンポストは単に家から出た生ゴミや畑からでる雑草や野菜残滓を上から投げ込むだけだが、使ってみると何点か、利用のコツがあるので以下に簡単にまとめてみる。 ①カラス対策 しっかり蓋をする。テグスを張る。 コンポストの生ゴミは、一度、カラスに目をつけられると、コンポストに投入した途端、カラスが全部、獲ったり、散らかしたりするようになる。 ②生ゴミの水分対策 ゴミが大量に水分を含んでいる場合は、乾燥した草や土を一緒に入れる。 ゴミの水分が多すぎることが続くと、ゴミが嫌気性醗酵して、周囲に腐敗臭がするため、スイカの皮、腐敗した食べ物などを入れる場合は、その上から乾燥した草や土を被せる。 ③醗酵促進 醗酵が進まんでないようにみえる場合は、醗酵の済んだ堆肥を一掴み入れる ④PH安定 気が向いた時に、石灰(有機石灰だとなおさらよい)を一掴み入れる ⑤翌年に堆肥として使用するコンポストの使用期間は5~10月 この期間を過ぎると醗酵しにくくなり、翌年春からすぐ堆肥として使えなくなるため、翌年から堆肥として使用するコンポストへの投入は10月末までとしている(暖かい場所ではもっと遅まで使えると思う)。 このため、私の家では1基は春から堆肥が使えるように、2基を組み合わせて使用している。 こちらは、コンポスト2号基である。現在、主にかみさんが、家の生ゴミ、新しく飼い始めた鶏の敷草と鶏フン、雑草などを日々投げ込んでいる(緑のネットはカラス除け)。これらの堆肥の材料は次々と醗酵して、嵩が減っていくので、1号基の堆肥がなくなる8月末までは十分、5人家族の生ゴミを受け入れる。これにより、生ゴミの量は激減したそうだ。 『新たに庭をつくる場合も、畑をつくる場合も、最初に、コンポスト箱(できればニュージーランド箱)をつくることからはじめるのがいいのではないか』と、考えるようになっている。 草ボウボウの荒地を開墾して、庭や畑をつくりはじめるとき、すみの方にコンポスト箱を最初に設置する。開墾が進むにつれて、出てきた大量の刈草や根はこの箱に放り込むか、新たに植えた花や木や野菜の根元に敷き込む。春に開墾をはじめれば、夏~秋の刈草と家からでる生ゴミで、コンポスト箱は一杯になるだろう。 そして、コンポスト箱は、次の春からは育苗と植え付けに必要な堆肥を供給してくれると思う。堆肥入の培養土で育った苗は頑強に育ち、堆肥が入った庭や畑の土はフカフカになり、水持ちがよく、雑草の管理もかなり楽になる。そして、子ども達は、投げ込まれた生ゴミや草が堆肥に変わり、庭や畑で使われるのを見ている。 コンポストやニュージーランド箱は、美しい庭づくりや、健康な野菜づくり、自然とともにある家族のライフスタイルづくりの起点になる装置になりうると考える。
by mukouno-tani
| 2013-07-03 07:40
| 畑と山と食と循環
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